FAQ | 広報活動

ハドロンとは?

物質を構成する最も基本的な粒子にはクォークとレプトンがあることが知られています。ハドロンは、クォークが「強い力」と呼ばれる力で結びついてできた粒子です。ハドロンには3個のクォークが結びついてできた陽子や中性子、2個のクォークが結びついてできたパイ中間子などがあります。他方、レプトンはクォークどうしを結びつける「強い力」を感じない粒子で、電子やニュートリノ、ミューオンなどがあります。

ニュートリノを観測しているのに、なぜハドロン宇宙国際研究センターなのですか?

ニュートリノはレプトンですが、ハドロンが崩壊したり、光と相互作用することによって放射されます。このため、高エネルギーニュートリノを観測することによって、高エネルギーハドロンが存在していることを証明することができます。ニュートリノというメッセンジャーを使ってハドロン放射源の解明を目指す研究センターですので、このような名前になっています。

なぜ南極で観測するのですか?

ニュートリノは他の物質とほとんど反応しませんが、非常に小さな確率で水分子と反応して生成されるミューオンが放射する光(チェレンコフ光)を光検出器(光電子増倍管)を用いて検出することによって捕えることができます。このためには大量の水が必要です。小柴博士がマゼラン雲超新星から放射されたニュートリノを検出してノーベル賞を受賞した観測装置「カミオカンデ」では地下に蓄えた水を利用しました。南極には厚さ2500メートル以上の氷があります。この氷をニュートリノ検出器として利用しようというのが、IceCubeのアイデアです。

なぜ個数が少ない高エネルギーニュートリノを観測しようとするのですか?

高エネルギーニュートリノは高エネルギー宇宙線に伴って放射されますから、高エネルギーニュートリノを観測することによって高エネルギー宇宙線がどのような天体から放射されているのかを明らかにすることができます。低エネルギーニュートリノの方が個数が多いですが、大気中で発生するニュートリノと区別することが難しいため、確実に大気圏外から飛来したと判定できる、高エネルギーニュートリノを捕えようとしています。

プラズマとは?

電離気体のことです。気体の温度を上げていくと、やがて気体分子は電離してプラスの電荷を持ったイオンとマイナス電荷を持った電子によって構成される電離気体になります。これらの荷電粒子の間にはクーロン力が働きますので原子核のプラス電荷と同じ大きさのマイナス電荷をもつ電子でできた中性気体とは異なる振る舞いをします。例えば、正電荷を持つ粒子のまわりには電子が集まってきます。また、磁場中を運動する荷電粒子は磁力線の周りを旋回運動します。