IceCubeニュートリノ観測実験 は、氷河下に埋設された5160個のDOMと呼ばれる光検出器によって氷中を通り抜ける高エネルギーニュートリノを捕らえています。
1km2の広さの氷河のおよそ2.5kmの深さに降ろされた86本のケーブルに、それぞれ60個のDOM光検出器が縦に連なるように設置されています。
ニュートリノの透過性はとても高く、他の物質とほとんど反応することなく通り抜けていきますが、氷河内の原子核とまれに反応することがあり、その時に荷電粒子が生成され「チェレンコフ光」と呼ばれる光を放出します。
氷中のDOM光検出器は、瞬間的に光る「チェレンコフ光」の微弱な光を検出しニュートリノを捕まえます。
直径およそ30cmのDOM光検出器は、700気圧を超える氷中の気圧に耐えられる耐圧ガラスで出来ています。その中は、微弱なチェレンコフ光を検出しその信号を増幅する光電子増倍管や、増倍管と信号を高速に処理するコンピュータ基板などで構成されています。また、DOM光検出器にはそれぞれケーブルが取り付けられ、このケーブルを通して氷河上に建てられたICL(IceCubeラボ・実験制御室)から電力が供給され、検出した信号のデータが収集されます。
南極点に位置するアムゼン・スコット米国基地敷地内の1km2の広さに、5160個のDOM光検出器が埋め込まれています。
熱湯を噴射しながら回転するドリルを使い、南極点の硬い氷に穴をあけ、ケーブル連なったDOM検出器の列を降ろしていきました。
およそ125m間隔で設置された78本のDOMの列に加え、中央近くに8本の列がより密になるよう設置されています。
微弱なチェレンコフ光を検出し、その信号を増幅する光電子増倍管。直径25cmのこの装置の光電面に光が当たると電子が発生し、装置内で増幅します。
この光電子増倍管は、静岡県浜松市に所在する浜松ホトニクス社で製造されています。岐阜県で行われているニュートリノ実験、スーパーカミオカンデでも同様のものが使われています。
日本が世界に誇るこの最先端技術が、ニュートリノ研究に大いに貢献しています。
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