ICEHAP NEWS vol.8
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・ASAS-SN, The Astrophysical Multimessenger Observatory Network, Fermi, HAWC, LCO, MASTER, Swift, VERITAS, IceCube Collaboration: A. Ishihara,T. Kuwabara, L. Lu, K. Mase, M. Relich, A. Stößl, S. Yoshida, et al. ; Multiwavelength Follow-up of a Rare IceCube Neutrino Multiplet,  Astronomy and Astrophysics, 607, A115, DOI: 10.1051/0004-6361/201730620, (2017)・IceCube Collaboration; A. Ishihara, T. Kuwabara, L. Lu, K. Mase, M. Relich, S. Yoshida, et al. ; Extending the Search for Muon Neutrinos Coincident with Gamma-Ray Bursts in IceCube Data, Astrophysical Journal, 843, 112; DOI: 10.3847/1538-4357/aa7569, (2017) ・IceCube Collaboration; A. Ishihara, T. Kuwabara, L. Lu, K. Mase, M. Relich, S. Yoshida, et al. ; Search for Sterile Neutrino Mixing Using Three Years of IceCube DeepCore Data, Physical Review, D95,112002; DOI: 10.1103/PhysRevD.95.112002, (2017)・Y. Matsumoto, T. Amano, N. Kato, M. Hoshino, Electron Surng and Drift Accelerations in a Weibel-dominated High-Mach-number Shock, Physical Review Letters, 119, 105101, DOI:10.1103/PhysRevLett.119.105101, (2017)・H. Hotta, Solar Overshoot Region and Small-scale Dynamo with Realistic Energy Flux, The Astrophysical Journal, 843, article id. 52, 12 pp, DOI:10.3847/1538-4357/aa784b, (2017)・T. Hanawa, T. Kudoh, K. Tomisaka, Fragmentation of a Filamentary Cloud Permeated by a Perpendicular Magnetic Field, The Astrophysical Journal, 848, Issue 1, article id. 2, 12 pp, DOI:10.3847/1538-4357/aa8b6d, (2017)最近の主な論文本センターから最近出版された主要な論文です グラショウ共鳴事象の検出は素粒子標準模型を確認するばかりではなく、天体・宇宙物理の観点からも重要です。なぜなら反電子ニュートリノにのみ関わる反応であるため、PeV 領域における反電子宇宙ニュートリノの量を測定することになるからです。例えば、強い磁場の環境下でニュートリノを生成する場合、シンクトロン冷却によって、ミューオン崩壊からのニュートリノ生成が抑制されます。したがって電子ニュートリノが全体に占める割合は低くなります。ニュートリノ生成機構として陽子・陽子衝突を考えるか、陽子・光子衝突を考えるかで、反電子ニュートリノの割合も変わります。アジサイ事象検出は、(反)ニュートリノフレーバー比から宇宙ニュートリノ起源に迫る第一歩なのです。  アジサイイベントが意味するもうひとつの重要な点は、宇宙ニュートリノのスペクトルが少なくとも 6 PeV までは高エネルギー領域に伸びているということです。また図3に示すように宇宙ニュートリノが運ぶエネルギーの総量は、超高エネルギー宇宙線や拡散γ線とほぼ同じです。これは不思議なことです。なぜ全く違う種類の粒子がほぼ同じエネルギー運搬を担っているのでしょう。ニュートリノ、γ線、超高エネルギー宇宙線は類似した起源を共有しているのかもしれません。PeV 領域以上に伸びる宇宙ニュートリノスペクトル観測は、この3者をつなぐ鍵になるでしょう。 アジサイイベントをより多数検出するとともに、さらに高エネルギー領域に探索の手を伸ばすことがニュートリノ放射天体を研究するために必要です。次世代実験 IceCube-Gen2 が1つの大きなチャンスを提供するでしょう。 6 PeVというエネルギーから、反電子ニュートリノからのグラショウ共鳴衝突で生成されたと考えてよい「アジサイ」イベントですが、 他にも注目すべき特色があります。検出器で捉えられた最初の光信号は、シャワー事象の特徴である、ニュートリノ衝突点から球状に広がるチェレンコフ光波面から期待されるよりも早いタイミングで記録されています。むしろ、ニュートリノ衝突点で生成されたミューオンジェットからの信号と考えると説明がつきます。この事実は、アジサイイベントが電磁シャワーではなく、多くの中間子生成を伴うハドロンシャワーであることを示唆します。ハドロンシャワーでは、20 GeV 程度のミューオンを数十個放出するからです。Wボゾン崩壊分岐比にして68%がハドロンシャワーを生成するチャンネルであるため、この早い光信号はまさにグラショウ共鳴事象で期待すべきものなのです。図3:Fermi衛星で観測された宇宙γ線、IceCube で観測された宇宙ニュートリノ、Auger 及び TA 実験で測定された宇宙線のエネルギーフラックスをまとめた。超高エネルギー宇宙ニュートリノ量の上限値も青実線で示している。 エネルギー流量は3者でだいたい同じであるが、超高エネルギー宇宙線が陽子だとすると、ニュートリノとγ線の測定結果を説明できる自明な天体候補はないことが知られている。What's New ハドロンシャワー事象の可能性宇宙ニュートリノ起源への示唆Report now 2

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