ICEHAPNEWS vol.7
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祝 石原安野准教授 第37回猿橋賞受賞 ハドロン宇宙国際研究センターの石原安野准教授が、ニュートリノ天文学においての顕著な業績を高く評価され、優秀な女性科学者に贈られる「猿橋賞」の第37回受賞者として選ばれました。 石原准教授は、国際共同研究アイスキューブ観測実験に2005年より参加、2009年には南極点に赴き、まだ建設途中であった観測施設にてニュートリノ検出器の設置などを行いました。 2012年には、高エネルギー宇宙ニュートリノ事象を世界で初めて同定することに成功し、世界中を驚かせました。その後も宇宙ニュートリノ探索に勢力的に取り組み、2016年には、長年有力視されてきた超高エネルギー宇宙線起源に関する仮説を覆す分析結果を発表。研究に新たな知見をもたらしました。現在は、アイスキューブの次世代実験GEN2の「D-Egg」と呼ばれる検出器の開発にも取り組んでいます。 素晴らしい功績をあげ続ける石原准教授は、昔から物を考えたり読書をしたり工作などに熱中して取り組むことが大好きで、幼少の頃の夢は、『ウサギ小屋のような部屋で、たくさんの本に囲まれて好きなことに熱中すること』だったそうです。研究室ではアイスキューブ観測から得たデータを分析したり、時には半田ごてを片手に検出器の改良に励む石原准教授。まさに夢の「ウサギ小屋」(研究室)でたくさんの本(専門書)に囲まれて、大好きな研究に打ち込んでいる姿がよく見られます。 最近受けた取材の中で、石原准教授は、世界には科学者の50%が女性という国があるのにもかかわらず、日本では10%ほどしか女性科学者がいないことに触れ、日本の女の子たちにも科学者と出会う機会が増えるなど、科学をもっと身近に感じる環境があればいいと話していました。また、社会の価値観ではなく、自分のアンテナを持つことが大切と言い、「女の子が・・・になんて」という社会の概念にとらわれず、好きなことを見つけたら、目標に向かって傲慢になってほしい、とも話していました。 猿橋賞は、単に優秀な業績だけではなく、これからの世代の育成に大きく貢献できる女性科学者に贈られる賞でもあります。そんな未来の女性科学者のロールモデルとしても、これからの石原准教授の活躍が大いに期待されます。Congratulations 地球化学者の猿橋勝子教授によって1980年に創設された『女性科学者に明るい未来をの会』が「女性科学者のおかれている状況が必ずしも望ましくない中で、一条の光を投じ、いくらかでも彼女らを励まし、自然科学の発展に貢献できるように支援する」という趣旨のもと、自然科学分野で顕著な研究業績をおさめた50歳未満の女性科学者を毎年1名選び、猿橋賞を贈呈しています。 これまでに、国立遺伝学研究所の太田朋子研究室長(第1回1981年授賞)や千葉大学大学院自然科学研究科の西川恵子教授(第18回1998年授賞)などが受賞しています。静岡県出身 自由の森学園高校を経て東京理科大学理学部第二部物理学科を卒業後に渡米。テキサス大学オースティン校大学院にて博士号(物理学)を取得。アイスキューブ・プロジェクトには2005年より参加。2006年より千葉大に所属し、2016年より現職。猿橋賞授賞式にて『女性科学者に明るい未来をの会』関係者に囲まれ、受賞を喜ぶ石原准教授。文:高橋 恵(ICEHAP) イラスト:糟谷奈美猿橋賞とは石いし原はら安あ野や准教授 略歴

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