ICEHAPNEWS vol.5
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 このたび千葉大ICEHAPを退職する事となりました桑原です。皆さまに支えられ、2014年の着任より、これまで3年弱に渡り特任研究員として勤めさせて頂きました事、この場を借りてお礼申し上げます。 これまでIceCube実験で観測される大気ニュートリノの解析を担当させて頂いておりました。IceCubeの観測する大気ニュートリノのエネルギーは数GeVから数100TeVまで広くに及び、統計精度の高い大気ニュートリノデータの解析は、ニュートリノ振動等のニュートリノ物理のみならず、一次宇宙線スペクトルやエアシャワー等の宇宙線物理の観点からも大変に興味深いものでした。また、大気ニュートリノ観測は、日本のグループが長きに渡り名実共に世界をリードする研究を行っており、私の参加させて頂いた新学術領域研究「ニュートリノフロンティアの融合と進化」では、第一線で活躍される研究者の方々と活発な交流をさせて頂きました。神岡を始め、各機関のお世話になりました皆さま、ありがとうございました。 現在、千葉大ICEHAPでは、IceCube-Gen2計画とARA実験の、二つの将来計画に積極的に参加しております。IceCube-Gen2は数年以内の検出器選定を目指し、ARA実験は来季のステーション増設を予定し、重要な時期を迎えております。私もARA実験には、検出器の較正やアメリカ・ユタ州でのテスト観測等、プロジェクト開始段階の貴重な仕事に微力ながら関わらせて頂き、いち研究者としてこれ以上なく幸せでございました。千葉大ICEHAPはこのたび新たに2名の特任研究員を迎え、両将来計画に向け、万全の体制となっております。今後とも千葉大ICEHAPメンバーへの変わらぬご支援をよろしくお願い致します。 私の退職後の予定はここでは割愛させて頂きましたが、千葉大ICEHAPでの貴重な経験を、今後の人生に活かせていければと考えております。また皆さまに、いつか何処かで何かの形でお会いする機会があれば、それは大変にうれしい事でございます。末筆ではございますが、皆さまのご健勝と、さらなるご活躍をお祈りし、退職の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。What's New・IceCube Collaboration: R. Gaior,A. Ishihara,T. Kuwabara, L. Lu,K. Mase, M. Relich, S. Yoshida, et al. ; Searches for Sterile Neutrinos with the IceCube Detector, Physical Review Letters 117, 071801; DOI: 10.1103/PhysRevLett.117.071801 (2016)・IceCube Collaboration: R. Gaior,A. Ishihara,T. Kuwabara, L. Lu,K. Mase, M. Relich, S. Yoshida, et al.; An All-Sky Search for Three Flavors of Neutrinos from Gamma-Ray Bursts with the IceCube Neutrino Observatory, Astrophysical Journal 824, 115; DOI:10.3847/0004-637X/824/2/115 (2016)・IceCube Collaboration: A. Ishihara,T. Kuwabara, L. Lu,K. Mase, M. Relich, S. Yoshida, et al. ; Constraints on Ultra-High-Energy Cosmic Ray Sources from a Search for Neutrinos Above 10PeV with IceCube, Physical Review Letters; arXiv:1607.05886 [hep-ex], 20.July (2016)・Y. Kuramitsu, A. Mizuta, Y. Sakawa, H. Tanji, T. Ide, T. Sano, M. Koenig, A. Ravasio, A. Pelka, H. Takabe, C. D. Gregory, N. Woolsey, T. Moritaka, S. Matsukiyo, Y. Matsumoto, and N. Ohnishi, Time Evolution ofKelvin-Helmholtsz Vortices Associated with Collisionless Shocks in Laser-Produced Plasmas, The Astrophysical Journal, Volume 828, Number 2; DOI 10.3847/0004-637X/828/2/93(2016) ・T.Ishiyama, K.Sudo, S.Yokoi, K.Hasegawa, N.Tominaga, H.Susa, Where are the Low-mass Population III Stars?, The Astrophysical Journal, Volume 826, Issue 1, article id. 9, 11pp. DOI:10.3847/0004-637X/826/1/9(2016)桑原孝夫・ニュートリノ天文学部門の石原安野准教授が発表したEHEに関する論文「Constraints on Ultra-High-Energy Cosmic Ray Sources from a Search for Neutrinos Above 10PeV with IceCube」が、この度Physical Review Letters誌に掲載され、また同誌が選ぶ特に重要な論文として“PRL Editors’ Suggestion”に選出されました。最近の主な論文大学内でARA実験テスト観測用装置の仮組み。ICEHAPよりお知らせMessage from Takao本センターから最近出版された主要な論文です先日約3年弱にわたる任務を終えた桑原孝夫研究員からのメッセージです・プラズマ宇宙研究部門の堀田英之特任助教の記事が「日本物理学会誌11月号」に掲載され、表紙画像「スパコン『京』で再現した太陽内部の熱対流の様子」も提供しました。出典:日本物理学会誌

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