ICEHAPNEWS vol.5
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ギー宇宙線起源の超高エネルギーニュートリノの初観測を目指し、電波の干渉を利用したARA望遠鏡が南極点にて建設中です。この建設を更に早期に推し進めるために現在私たちは細型の新アンテナを開発しています。今回の南極実験ではこのアンテナを氷中に埋め、氷中での実際の性能を調べるための実験を行う予定です。この南極での実験の詳細並びに結果を次号にて報告します。お楽しみに!1020eVを超える最高エネルギー宇宙線の起源は未だに分かっていない謎であり、この最高エネルギー宇宙線から1017eVを超える超高エネルギーのニュートリノが生成されることが期待されていますが、未だに観測されていません。この最高エネル上のREPORT NOW2の中でお伝えしたARA検出器の実験サイトでの試験に参加するため、ニュートリノ天文学部門の間瀬助教が南極へ出発します。その様子を次号でたっぷりお知らせしたいと思います。 Askaryan Radio Array (ARA)実験は、Greisen-Zatsepin-Kuzmin (GZK)過程によって生成されることが予言されている 超高エネルギーニュートリノを検出することを目指しています。この過程は、超高エネルギー宇宙線が宇宙背景輻射と衝突しニュートリノを生成します。したがってその検出は特に遠方にある超高エネルギー宇宙線起源天体を解き明かすことにつながると期待されています。 ARA実験場所は南極点にあり、氷に縦穴を掘って埋設されるアンテナ検出器のアレイで構成されます。この検出器はニュートリノが氷河と衝突して生成した 写真1はARA実験で使うVPol型*1(縦偏光に感度がある)検出器です。元々のデザインから作られたこの検出器と同型のものが稼働しており、再来年も一部が埋設されます。埋設は氷河を切削するため、多大な時間とコストがかかります。より安価でスピーディーな切削のために高速空気流ドリル(Rapid Air Movement Drill)が開発されました(写真2)。しかし、このドリルが切削する縦穴の径はわずか10cmほどに過ぎません。そこで、幅6.5cmのスリムなアンテナ検出器を私たちのグループは開発しました。 この新型検出器の特性を現在千葉大学で測定し、オリジナルの検出器にくらべ性能の低下は許容できる範囲にあることを確かめました。これらの検出器は南極に移送され、今年冬(南極は夏!)に実験サイトで試験が実施されます。荷電粒子から放射される電波を検出するようにデザインされています。*1 VPol型=Vertical Polarization の略。縦偏光(縦に波打つ電波)の感度をあげ、縦型の電波をより多く検出する。少なきをもって多くをとる旧型と新型のARAアンテナ。右上の旧アンテナを改良し、約1/2の幅のスリムな形に。ICEHAP NEWS次号予告写真1高速空気流ドリルを用い氷上に穴を開けている様子。写真2特任研究員ニュートリノ天文学部門Simon ArchambaultARA実験のための新型スリム検出器の可能性を探るReport now 2訳:吉田 滋(ICEHAPセンター長)

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