ICEHAP NEWS vol.10
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SPECIALREPORT「アイスキューブ・コラボレーション・ミーティング」が初めて日本で開催されました。今回初来日という研究者も多く、どのメンバーも笑顔で千葉でのミーティングをとても楽しんでいる様子でした。千葉でのおもてなしがこれからの研究の活力となってくれたら、とてもうれしいですね。次回のミーティングは、来年の春にベルギーで開催されます。 国際共同実験アイスキューブ(IceCube)には、現在12ヵ国52機関が参加しています。各国に散らばるアイスキューブのメンバーらは、毎年2回開催される「アイスキューブ・コラボレーション・ミーティング」に集まり、それぞれ新たな研究成果などを報告・発表し、情報や意見の交換を行います。 これまでは、IceCube本部が所在するアメリカなどの北米やドイツなどの欧州でこのミーティングが開かれていましたが、今年初めて日本での開催が決まり、日本から唯一の参加機関である千葉大学チームが主催することになりました。アジア地域初の開催です。 千葉大学西千葉キャンパスに、アイスキューブのメンバーと外部の関係者ら約200名が集まりました。毎日9時~18時ごろまで過密なスケジュールで様々な規模の会議や報告会が行われました。今会議の大きな焦点は、今年7月にその始動が正式に発表されたアイスキューブのアップグレード計画でした。この計画では、千葉大学チームのD-Eggを含む3種の新型検出器が南極点に設置される予定です。開発に携わる研究機関が、各々の検出器について報告を行いました。 ミーティング期間中はほかにも、様々な催しが行われました。その一つがメンバーの熱いリクエストにより敢行された静岡県浜松市に所在する浜松ホトニクス社の工場への見学ツアーです。この工場では、現在アイスキューブの検出器に採用されている光電子増倍管(PMT)が製造されている様子を見学でき、皆大満足な様子でした。また、今号から連載が開始されたアイスキューブさん4コマ漫画の作者であるひっぐすたんこと秋本祐希さんと当センターのLu特任研究員による講演会も行われました。 このミーティングは、日ごろ離れて研究をしている研究者らが顔を合わせ交流する貴重な機会でもあります。主催大学による歓迎会や懇親会が開かれ、親交を深めました。懇親会では、アイスキューブ検出器の性能向上のため特に貢献した研究者を表彰するIceCube Impact Awardsが発表され、当センターのLu特任研究員も受賞者の1人として選ばれました。ミーティング中大きなモニターに映し出されたスライドを使い発表する研究員の様子。浴衣姿でIceCube Impact Awardsを受賞するLu特任研究員。特に南極点の氷河に埋め込まれているニュートリノ検出器を拡張現実(AR)により疑似体験できるようにし、アイスキューブ研究と科学を一般に広めたことが評価されました。千葉大学内で行われた歓迎会。地元の飲食店の方々の協力のもと千葉の食材にこだわった料理や飲み物を用意しました。写真はオリジナルのアイスキューブお猪口を片手に利き酒ブースに並ぶ研究員たち。歓迎会では、和紙で箸置きを作る体験や大学内にあるガラス貼りの茶室での茶道など、日本文化も体験してもらいました。チーバ君もメンバーを歓迎しに来てくれましたよ。浜松ホトニクス社工場見学にて。アイスキューブのPMTはもちろん、岐阜のスーパーカミオカンデで起用されている大型のPMTに皆大興奮! 写真は、当センター長の吉田教授が大型PMTを抱えている様子。秋本さんの講演の様子。秋本さんの描くアイスキューブ検出器や素粒子をモデルにしたキャラクターに、参加したメンバーは興味津々でした。文:高橋 恵(ICEHAP)

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