ICEHAP NEWS vol.10
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祝吉田滋教授&石原安野教授第65回仁科記念賞受賞文:高橋 恵(ICEHAP)東京都出身。千葉大学理学研究院教授。同大学ハドロン宇宙国際研究センター長を兼務。東京工業大学博士課程を修了後、アメリカ・ユタ大学研究員及び東京大学助手を経て、2002年に千葉大学に着任し、同時期よりIceCube国際共同プロジェクトに参加。2003年には南極点に赴き、アイスキューブ検出器設置にも携わった。超高エネルギー宇宙ニュートリノ発見への貢献により平成基礎科学財団より戸塚賞を2014年に受賞。静岡県出身。自由の森学園高校を経て東京理科大学理学部第二部物理学科を卒業後渡米。テキサス大学オースティン校大学院にて博士号(物理学)を取得。IceCube国際共同プロジェクトには2005年より参加。また2017年には自然科学分野で顕著な研究業績をおさめた女性科学者に贈られる第37回猿橋賞を受賞。2006年より千葉大に所属し、2018年より現職。吉田 滋(よしだ しげる) 教授 略歴石原 安野(いしはら あや)教授 略歴 2019年11月7日に、公益財団法人「仁科記念財団」より2019年度(第65回)の仁科記念賞の受賞者が発表され、ハドロン宇宙国際研究センターの吉田滋教授と石原安野教授が選ばれました。 両教授は、南極点のニュートリノ観測施設で行われるアイスキューブ実験に開始当初より参画し、IceCubeの観測装置によって2011-12年に取得された膨大なデータを解析し、世界で初めてとなる超高エネルギー宇宙ニュートリノの同定に貢献しました。 また、2016年には同観測装置で検出されたニュートリノの事象データを元に、到来した方向などの観測情報をアラートとして発信し、世界中の天文施設により追観測を行うシステムを構築し運用を始めました。これにより2017年に巨大なブラックホールを持つブレーザー天体「TXS0506+056」が強いガンマ線とニュートリノを放出していることがわかり、史上初めての超高エネルギーニュートリノの放射源天体同定に成功しました。これらの発見は、宇宙線物理学と高エネルギーニュートリノ天文学に新たな知見をもたらしました。こうした業績が認められ、両教授の今回の受賞につながりました。 仁科記念賞は、日本の現代物理学の父とも称された故仁に科しな芳よし雄お博士の功績を記念し、1955年に創設され、物理学とその応用に関し卓越した業績をあげた研究者を表彰してきました。日本のノーベル物理学賞受賞者の多くが過去にこの賞を受賞しています。

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